時は戦国乱世・・・・
誰でもが、野心と願いとを抱えて戦場を駆け抜けた時代
「俺の軍略、今日も冴えてるぜ。」
和州牢人・島左近も、そんな傭兵の一人であった。
そして、彼に同行しているのが・・・・・
「こんな計略、わらわでも看破できるのじゃ!」
「鍵は蘭にお任せ下さい。」
ガラシャ、森蘭丸、の・・・二名。
なんかどこかで見たような顔ぶれだが、其処は気にしてはいけない。
登用先が長宗我部で、ますますなんだか何処かで感がてんこ盛りだが気にしてはいけない。
数多の戦場で名を挙げた彼らには、ある称号が与えられていた。
「おう、あんたたちか!」
それは、とある日の黄昏。
三人連れだって町を歩いていた左近を呼び止めたのは、見覚えのない荒くれ男であった。
「悪いが、人違いしてないかい?」
自然、ガラシャを背後に、蘭丸を片腕で庇うような姿勢になる左近に、男は
「いやいやいや、あんたたち三人のことに違い無ぇ!オレらの憧れの的だぁ!!」と
大袈裟に手を振った。
話を聞くと、其の男も傭兵として戦に出ているのだという。
「そうは言っても、オレらみたいなヤツらが名を挙げるのは至難だろ。」
だのに、あんたらときたらよぉ・・・!!
男は興奮してまくし立てる。
「別嬪な娘二人連れた父親が、戦場で数多の戦果を上げる!
ありとあらゆる意味で、憧れの的だぜ!?これからも頑張ってくれや、応援してんぜ!!」
一人で盛り上がって、男は去っていった。
何の意味があるのか、玉を幾つか手渡して。
残された三人は顔を見合わせる。
「聞き捨てならないセリフがありましたよね・・・」
蘭丸の表情が暗い。
当然である。
「一体、何に憧れてるってんだ・・・」
左近はしょっぱい顔で、明々後日の方角を見つめる。
「左近、あの者は娘『二人』と言っておったのう?誰のことじゃ??」
無邪気なガラシャだけが何時もの表情だ。
三人の、何がどう歪んで伝わっているのやら。
この次のターン、蘭丸の戦ぶりには鬼気迫る何かがあったという。
どっとはらい。