「トリモチがウザイ。」

ある日の戦闘終了後。
平生と変わらない表情のまま、出し抜けに元親がそう言った。

「其れも今更、でしょうに。」
「攻撃の振りが遅くなるのは、かなわんのう。」

左近とガラシャと、言っていることが真逆である。
しかし元親は気になどしない。

「また探すか。トリモチ切断所持者を。」
「思いっきり今更な人材探しですな。」

ツッコむ左近の視線が遠い。
ターンは流れに流れてそろそろ40近いのだから、致し方もないのだが、さておき。

「回復系の時以上に、選択に悩む顔ぶれだな。」

某雑誌を片手に、元親が嘆息した。
まあ確かに、言われてみればどいつもこいつも・・・な面々である。
其の時、ガラシャが気付いた。

「おかしいぞえ?元親や、これによるとお主、トリモチ切断所有しておるのではないかや?」

言われてみれば確かに、デカデカと元親のデータ欄には『トリモチ切断』と書かれている。

・・・・・が。

「俺はトリモチなど、切断できた例はない。」

言い放つセリフはそのまま真実だ。
現に先の戦場でも、山本勘助が発動させたトリモチの計に引っ掛かってのたのたしていたではないか。

と、いうことは。

「これは、頼らぬが吉か・・・上等。」

口ではこんな言い方だが、実は頼れるデータがひとつ減ってちょっと切ない元親である。
見かねて左近は口を出した。

「コンプリートガイドはどうです?アレにも載っていたような気がするんですがね。」

そんなこんなで、攻略本を確認してみましたとさ。



そうしたら。


「載っていたのか・・・」
「アンタこれ買ってから、全然この辺見てませんでしたね?」
「オススメ武将も紹介されておるのか。おお、わらわはオススメなのじゃな!!」

肩を落とす元親、苦笑いの左近、ガラシャ一人がハイテンション。
検討の結果選抜されたのは・・・

「半蔵で。」

運良く次のターンで仲間に出来たりした、其の辺りは強運である。

「仲間にしたいと思ったヤツが、存外直ぐに登場した。」

ガラシャの時もそうだったので、変なところで運の良い一行である。


斯くして
『鬼若子、軍師、姫、忍』という、物凄く何がなんだか分からない一個小隊が出来上がった。
後の世に、『浅井軍 小一時間ほど問い詰め隊』と称される猛将たちの、これが結成の経緯。



閑話。

この数ターン後の出来事。

「義に適わぬ行いには助力しないからな。心得ておけ。」
「かわいげのないセリフだが・・・上等。」

例の宝珠の一件以来、全く姿を見なかった三成が加わった。

こうして新たなメンバー『佐和山の狐』が登場し
『浅井軍 小一時間ほど問い詰め隊』の顔ぶれは、混迷の様相を呈してゆく。