浅井に仕官して、初の侵攻戦に加わった。
「で、何故俺の地元に武田がいるんだ?」
「或る意味ひとつの平行世界だからでしょうよ。」
浅井が進軍した先は、四国。
敵総大将は、武田信玄。
「どっちつかずの動きなんぞしたから、オトシマエをつけさせる為に押し寄せてきたのではないのか?」
「嬢ちゃん、怖くなってくるから其れ禁句な。」
偶に、可愛い顔してとんでもない発言をするガラシャであった。
ともあれ。
「総大将を取れば勝ちか。上等。進軍するぞ。」
「元親や、何やら敵将がかたまっておるぞ?左近、どうするのじゃ?」
「そりゃガシガシ進んで各個撃破でしょうよ。えーと・・・見事にモブばっか・・・・あ゛?」
配置武将一覧を見ていた左近が石化した。
「どうしたのじゃ?・・・あややや???」
脇から覗き込んだガラシャも石化する。
「どうした、忍の術か?」
「や、俺たちにそんなの有りませんて。ちょっとこれ、見て下さい。変ですから。」
「何がだ・・・・・・・」
左近から一覧を渡されて、敵将の名を確認していた元親の動きが止まる。
「・・・コレ・・・」
「変でしょう?」
「奇っ怪じゃろう?」
三人が顔を見合わせたのは、他でもない。
敵将の中に『浅井長政』なる四文字を見つけたからである。
「ウチの大将でしょ?」
「誰がどう考えても、俺たちの君主だな・・・。」
わーわー。
合戦の喧噪を遠く聞きながら、ガラシャがポツリと呟いた。
「イケメンパラダイス、じゃな。」
「イケメンパラダイスだな。」
「イケメンパラダイス、ですな。」
この件の裏に、阿国が絡んでいないことを切に祈る。