海路の日和を待ちがてら、名刀は早くも二本集まっていた。

「順調ですな。」
「浅井に仕官できぬ侭日々が過ぎていくがな。」

ガラシャも加わり、変な盛り上がりを見せる一行は今日も平和であった。

「そろそろ、また特殊任務が来る時節ですよ。」
「一揆鎮圧や、敵中突破は楽しそうじゃな!」
「・・・下手すると姫護衛の時みたいな目に遭うけどな。」

左近が低く言うと、ガラシャも「う゛」と黙り込む。
護衛対象を見失い、仕方ないから敵を斬りまくっていたら姫が敗北したという、
何とも苦い記憶が去来した為であった。

「セーブが功を奏したな。」

告知一覧を眺めたまま、元親が言う。
実際、やり直したらあっさりクリアできたのだからもう。

「風魔は反則だよなあ・・・」
「幸村もおったぞ。あやつら相手では姫などひとたまりも・・・」
「浅井から登用の知らせが来ている。」

しみじみと。
悪い思い出を振り返っていた二人の耳に、元親の冷静な声が響く。

「やれやれ、やっと仕官できるのか。」
「早速向かうのじゃ!元親、何故立ち止まっておる?」

浮かれる二人に、元親はきっぱりこう言った。

「玉が足りない。仕官には50必要だが・・・」

「「 ・ ・ ・ え ? 」」

ガラシャと左近は、笑顔のまま石化した。
元親一人が冷静に、「何処かで一仕事して、玉を稼ぐぞ」などと言っている。

玉不足。
此処まで来て、このタイミングで!

玉不足!!?

「日頃の行いかねえ・・・」
「神の試練なのかのう・・・」

溜息混じりに、左近とガラシャが元親に従う。

「因果律だ。」

元親は何処までも冷静だった。



次の戦場でどうにか、不足分の玉を補えたのだが。

「さあて、今度こそ仕官・・・・」
「手が滑った。」

意気込む左近の横で、元親がまたしてもさらっと言い放つ。

「商人の激励を選択してしまった。仕官はまた次だ。」
「・・・・・オイィィィィィィィィィイイイイイイイッッッ!!!!!」

叫ぶ左近の、握り締めたゲンコに青筋が浮く。

「不足分は15個か・・・一回で補えるか不安じゃな。」

ガラシャの発言で、いよいよ左近は頭を抱えて踞る。

「50人アタリ玉も所持者は無し、か。上等、腕が鳴る。」
「鳴っても意味無いですから!つか、アタリ玉って言わない!!!」

左近、頑張れ。

そんなこんなで登用の告知から二ターン後。
ラッキーが重なったおかげで一行は漸く、浅井に仕官できたのだった。

「登用してもらうのに、何故ああも玉が要るのかが分からない。」
「すまない、某が無力なばかりに・・・」

・・・・・断じて、長政の所為では、無い。