「体力回復がないと、この先厳しいだろうか。」

明くる日のこと。
元親が珍しく、至極まともな疑問を口にした。
いや、まともと言っても・・・。

「今更其処気にしますか。」

普通は開始の時に熟考するところなのでは?
左近はもう、ツッコミのタイミングをしっかり心得ていた。

元親が突然、こんなことを気にしだしたのにはワケがある。
先程の戦場が、『体力が減った状態で開始』という条件が課されていて。

「気に留めたことはなかったが・・・敵将が複数押し寄せてくると存外厳しい。」
「ありゃ相手が悪いってのもありますって。」

前田慶次と真田幸村が殺到してくれば、普通誰だって無傷では済まされまい。
しかし。

「心おきなく暴れられないのは聊か性に合わん。」

其れも一理ある。

「じゃあ、『薬草の心得』所持者、探しましょう。」

ということで、新しい仲間を求めることになったのだが。

「三成は持っていないのだな・・・。」
「アンタは何を考えて殿を連れて行こうとしていたんですか。」

またしても、(プレイヤーの)趣味丸見えである。
流石の左近も頭を抱えた。

「『薬草の心得』は、大抵最初から備わっている傭兵能力ですね。
 ええと・・・お市、濃姫、阿国、稲姫・・・」
「長政は四番目の能力として所持、か。」
「ですが、一国の主を仲間には出来ませんよ。」
「他は・・・ああ、ガラシャと家康も使えるようだな。」
「タヌキはないでしょう、タヌキは。」

どうせなら女の子連れて行きたい!!!求む心のオアシス!!!!
左近の心の叫びはプレイヤーの魂の叫びである(実話)。

「癒し系が所望か・・・嗚呼、丁度良いのがいる。」
「誰ですか。」
「今川義元。」

の、の、の、のののの!
まろの大事な鞠は何処かの?
よいのよいの、苦しゅうないの!
皆で笑って蹴鞠たいの!

一瞬で、左近の脳内を駆けめぐったセリフの数々が、これである。

「まろは、却下で。」
「癒し系だろう。」
「イヤ、其れ、癒し系じゃないです。脱力系です。」

別に、緊張感のある旅がしたいワケではないけれど。
これ以上このがッつんがッつんな一行に不思議ちゃんが増えたら、左近がメルトダウンしてしまう。

このあと、あーだーだと議論を重ねた据えの次のターンにて

「わらわの力が必要なのじゃな!
 でも・・・何故、わらわなのじゃ?」

ガラシャが加わった。

「・・・結局、天然娘か・・・」

嗚呼、類は友を呼ぶ。