信念が虚しくなった其の瞬間
彼女は、再び舞い降りた


潮の香りがさんざめく
彼女が其の刃に纏わせた
紅い涙と同じ匂い

“汝の答えは、出たか”

其れを、今この時問うのか、と

“汝が主は没した。今、汝の心を成すは汝のみ”

どうして、其れを知っているのか、と


問い返すことさえ、望まぬほどに
・・・心が已(や)んでいた


夢半ばにして
陣没した我が主
守るべき存在も
視えていた筈の未来も

凡て、碧き波の彼方に


“答えぬは、汝が未来の非であると同意”

其れが『終焉』という裁きに繋がるのなら
彼女の手に任せるのも一興
けれど

「わたしの未来は、まだ定まっていない。」

答えは、己が戦いの果てに
視ずに終わることは、できぬ


“ならば、答えはいずれ”

彼の海鳴りの日と同じ
去りゆく小さな背中が痛い

『求道女』

ひとつしか無い蒼い眸に
喩えようもない虚無を抱えて、貴女は

何を
何を、求めるのですか?