守るべきもののため、と
迷わず、叫んだ

白日の下
眩い白衣を潮風に舞わせ
波打ち際を染める深紅と
同じ其れで全身を彩り

彼女は、問うた

“汝、此の乱世の果てに何を視る?”


「守るべきものが在る」と
「我が主の夢のため」と
迷わず、叫んだ

“否。汝の眼が見るものは何ぞ?”

白衣の美女
禍々しい刃の美女

我が夢は、主が戴く世界の姿
其れだけ


“では、其の世界の是非は如何や?”

そんな、こと
是も非もなくて、ただ今は
積年の悲願のために、闘うのみ

突きつけられた白刃が
酩酊するような眩暈を呼んだ


“ならば・・・答えは、いずれ”

去りゆく小さな背中が遠い


『求道女』

漂うような其の背中が
酷く、哀しく見えた