紅く霞む視界
もう戻れない、約束の場所
風よ
鳥よ
行くことの出来ないオレの代わりに
もしも覚えていたなら、伝えてくれないか
・・・・彼の人に
【 スカボロー・フェアー 】
あなたは、オレの総てだから
(ザマぁないね・・・こんな罠にかかっちゃうんだから)
血の海の中、佐助は自嘲の笑みを漏らした。
密命を負えて、甲斐に戻る道中。
何処の手の者かは知らぬが、相当な使い手たちではあった。
殲滅するには問題なかったの、だが。
傷が深すぎる。
血が、止まらない。
マズイとか、ヤバイとか云うレベルではなかった。
(帰るの・・・厳しいよなあ・・・)
手足の指先にはもう、感覚らしい感覚さえないのだから。
視界が暗く、靄がかかったように不鮮明なのも、恐らくは・・・。
(死んじまう・・・からなんだろうなあ、きっと。)
其の癖、頭の片隅は冷え切ったように冷静で。
彼の人の泣き顔ばかりが、瞼の裏に浮かぶ。
(幸村様・・・・・)
悲しませたくなんて無いのに。
己の無力さを呪うしかできないのが、無性に情けない。
最後の最後で、泣かせて終わり、なんて。
(不義もいいとこ・・・だよなあ・・・)
ごめんね、旦那。
駄目な部下で。
本当にごめん。
悲しませたくなんて無かった、其れだけは、本当。
(だって、愛しい人には笑っていて欲しい、から)
咲き誇る花でも
自由に羽ばたく鳥でも
吹き抜ける風でも
青白く輝く月でも良い
あの町で俺の帰りを待つ、彼の人のどうかどうか伝えて
(心の底から愛した、唯一の大切な人)
たとえ肉体が朽ちても
魂だけは、永久にあなたの傍に
唯一の主
護るべき焔
大切な たいせつな
幸村様
オレが帰りたかった、あの町へ行くの?
パセリにセージ、ローズマリーにタイム
覚えていたなら、彼の人に伝えてくれないか
本気で
本気で愛している、人なんだ・・・
(愛しています、幸村様・・・・・)
沈む血色の海の中
漸く思い描けた幸村の笑顔に
佐助は、最期までそう呟き続けていた。
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サイモン&ガーファンクルの名曲で、とんでもない妄想しでかしました。
逢いたい人に逢えないまま、散って逝って仕舞う佐助のイメージだなあ、と。
サスユキで落ち着けたんですが、最初はサスダテかダテサスでいこうかと思っていたんですよ。
叶わぬ恋のまま、結局死に別れる二人。そんなん。
で、伊達様が死んでしまう話とてして考えていました。
歌詞に
『Remember me to one who lives there』
(其処に住む彼の人に 宜しく云ってくれ)
『She once was a true love of mine』
(かつて 本気で愛した人なんだ)
てのがあるんで・・・・。
まあ、SheはHeに変えますが。
これだとなんか、伊達が最期まで佐助を思ってて、でも佐助は伊達に見向きもして無くて・・・
ってイメージなんですが。
そろそろ、だだもれの妄想に蓋をする頃合いのようですね(むぎゅう)
11日に破月と遊んで下さった神様へ。
サスユキがお好きでしたら、此方をどうぞ。
あ、もう片方のダテサスと、2つともお持ち頂いても問題零です。