【罰を拭う其の腕に

 抱かれながら眠りたい】




[聲−コエ−]



其の目指す未来に迷いはなくても

不意に

築き上げた屍の山の腐臭に、耐えられなくなる。



「佐助・・・佐助・・・。」
「どうしたの、旦那。」

真田幸村という男は、真正一途で、前へ前へと突き進む熱血漢なのだが。
ほんの時折、自らの在り方に強い疑問を感じると、今度は酷く其れに囚われて、
抜け出す事が出来なくなるのである。


「手・・・此の、手が。」
「うん?」

わななく掌が、佐助の眼前に差し出される。

「紅く・・・何か、焼けついたように、紅く見えるのだ・・・。」
「そお?」
「佐助には、見えぬか!?」
「見えないよ。全然、見えない。」

事実、佐助の目に映る幸村の手は、紅いどころか月光に照らされてほんのりと白く、
力強いが何処か繊細さを潜め、美しいばかり。


「お館様の天下のためとは言え、某は、人を殺しすぎておる。」
「乱世はそーゆーモノだよ、旦那。戦のない世を求めるなら、戦わなくちゃ進めない。」
「道理だ。其れは覆らぬ。されど・・・・ッ」

つう、と。
幼さの多分に残る幸村の頬を、涙が伝う。


「いずれ・・・いずれ此の命の尽きたとき、独りになるのは、厭だ・・・!!」

殺して、殺して。

殺戮の果てに死んだとき。

「お館様とも、お前とも離されて、独り闇を彷徨うのかと。そう、思うと・・・」
「怖いの?」

訊いた、瞬間。
差し伸べられていた手に、強く強く抱きしめられた。

「・・・怖い。例えようもないほどに。」


震える声が、体が。
愛しくて、愛しくて。


「怖がる事なんて無い。旦那を独りになんて、オレが絶対にしないから。」

抱きしめ返す其の腕に
力を込めた。


「さすけ・・・」
「もしも旦那が、海の底に堕ちたら、オレは此の足を切って、魚に成って傍に行く。
 旦那が闇に堕ちたら、オレは果てない其の闇に生きる影に成る。
 旦那を独りになんて、絶対にしない。」




離れられる筈がない。

佐助の抱える闇を、罰を。

拭ってくれるのは、幸村という、唯一絶対の光だけ。

幸村を惑わす闇を拭えるのが、

佐助の聲だけであるように。




「佐助・・・」
「旦那。夜が、明けたらまた・・・戦、だから。」


朝が来る前に。
幸村を立ち直らせなくては成らない。
平生の、純粋で揺るぎない、二槍を振るって戦場を翔る、紅蓮の太陽のような少年の姿に。
立ち戻らせなくては成らない、其れが佐助の勤めなのだ。

けれど。


「夜が、明けきるまで・・・。佐助、あと少しだけで良い、このままで。」

僅か、語尾に震えの残る其の声で言われてしまうと。

「御意。」

其の躯を、振り解くことが出来ない。




【昇る 昇る 太陽が
 私の場所を浄化する
 罰を拭う其の腕に
 抱かれながら眠りたい】



壊れそうな、危うい此の存在を

貴方の聲だけが、此処に繋ぎとめていてくれる




やがて、幸村が其の顔を上げ

「すまなかった」と呟く、瞬間まで

佐助は唯、幸村を抱きしめていた。






【罰を拭う其の腕に

 抱かれながら眠りにつきたい】













††††††††††

はあ〜い、言い訳行ってよろしおすかぁ?(勝手に逝け)
あの、天野月子の『聲』にハマってるんです。
んで、なんか歌詞眺めていたら出だし書き始めてて。
そのまま一気に流したんですよ。
・・・誰かこの人埋めてェェェェェェェェ!!!

なんか、これもの凄くがッつんがッつんしてないですか?
がッつんがッつんしてない文章書けた例なんて無いけれどさあ(爆殺)
ありがちな上、視点コロコロ変わってるし、しかも幸村ありえない!!

ごめん、ホント埋めるか沈めるか、いっそ紅い海に沈めてくれて構わないんで・・・
(したら、マヨネーズ屍人になって、修行の旅に出るから!!)(ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜)