左手の薬指に
『死』を紡ぎ謳う宝玉を携えて
閉ざされし記憶の底より、少年は時間を詠う

崩壊と終焉が彼の腕より与えられ
ひとつの世界は滅び ひとつの時間が没した
破壊と破滅とを記す砂は吹き荒ぶだけ
ひとつの歴史が消え ひとつの因果律が収束した

左手の薬指に
『死』をなぞり謳う宝玉を携えて
失われし記憶の涯てより、少年は未来を詠う

倒れ伏した男の視線の先で
振り返る「姉」の笑顔だけが終幕の光に凛と美しく
届きはしない声を張り上げて
其れでも少年は叫んだ

されど・・・嗚呼・・・其ノ刹那に至ルまでの記憶が、無イ ...

左手の薬指に
『死』を告げ謳う宝玉を携えて
壊れた世界の彼方より、少年は守るべき魂を詠う・・・