【 気になる理由 】



自分だけではどうしようもないから。
そんなとき、頼れる友が出来たことは、素直に嬉しい。
けれど。

「どうだった、幸村。」

幼子のようにややそわそわしながら、三成は幸村に問いかけた。
言わずもがな、キノトの顔を見た感想を求めているのである。

「左近殿が綺麗だと言うのだから、其れを信じてはどうか、と。」
「お前の意見は尋いていない。キノトの顔を見てどう思ったかと尋いている。」

苛立ったように、忙しなく扇で掌を叩きながら。
少しだけ荒げた声で、三成はキッとなって言った。

「綺麗、だと。」
「・・・そうか。」

言葉少なく言い返した幸村を誤解したのか。
三成は、少し決まり悪そうに顔を伏せた。

「すまん。俺の勝手で時間を取らせておきながら・・・。」
「いえ、そんな。」

単に、具体的に何処がどう綺麗と言いようが無くて、一言返事になってしまった幸村は慌てた。

「キノト殿の顔は確かに綺麗です。其れと同じなのですから、三成殿も綺麗ですよ。」
「・・・本当に」

小さく。
呻くように吐き出した三成の様子に、違和感を感じた。

「え?」
「俺の顔は、本当にあいつに似ているか、幸村。」

突然のこの発言。
幸村は仰天した。

「三成殿、何を」
「あいつは、俺と違って他人に苛立ったりしない。お前を不快にさせることもない。」
「そんな、私は」
「確かに、あいつの顔は美しい。しかし・・・俺はあいつに似ている自信がない。」


どうやら三成は、ぐるぐる考え込んでいるうちに途方もない思考の袋小路に填ってしまったらしい。

なんとかしなくては。

そう考えた幸村が、通りかかった慶次を呼び止めて。
其れが、後の混乱につながった事の次第であった。












生真面目幸村の受難。
三成は、思い詰めだしたら袋小路に即堕ちるタイプだと思うんですよ。
生き難いと評されまくりな自分と、一族全員に慕われている相手との差を痛感してウダウダ。
其処が、理解してくれる相手には愛される部分だと、分かってないですよね。
そんな可愛い殿が大好きでs(黙って)