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見渡す限りの純白
凍てついた樹氷の海
白く凍える世界に
唯、其の存在を感じる・・・・・
【 雪舞夢現 -白鬼夜光と狂騒乱舞- 】
<...其れは、封印された心象風景・・・舞い上がり舞い散る、幻灯>
何処とも知れない雪原を、独り
降り積もった雪に足を取られながら進む
嗚呼、不自由な足を懸命に動かして
招かれるように進む其の先には・・・
石造りの豪奢な廃墟
打ち捨てられたような尖晶石の礼拝堂
樹氷が奏でる鈴の音に導かれ、進む
白夜の鬼は焦がれるように
狂騒の闇は呼ばれるままに
何処か人の道を踏み外した生き物として、生きてきた中で
とうに人の道から外れた、果てしの無い寿命を彷徨う中で
失った、欠落した決定的な何かが、其の先で手招く
樹氷が歌う、其れは幻影の歌...?
無惨に崩れ落ちた、尖晶石の礼拝堂
焼け爛れた壁、其処に一枚の肖像画
万物が灰燼へと帰した風景の中で
異様に、歪に、存在する其の絵は...
陰軍師が見つけたのは
咲き乱れる紫水晶に似た、背筋が凍るほど美しい隻眼の男の肖像
闇軍師が見つけたのは
咲き誇る玉滴石に似た、闇い深淵を潜めた紫電の隻眼の男の肖像
「「ああ、これは、まるで・・・」」
透き通る合わせ鏡の世界
其処だけ異質な二人の軍師が、同時に唇を開く
紡ぐ言ノ葉は、低く小さく歌うように
静寂を、揺らす
「何故だ・・・似てなど居ないのに、此は己だ・・・。」
「何故・・・似てなど居ないのに、此は拙僧だ・・・。」
嗚呼、己の姿とは似ても似つかぬ己の肖像。
嗚呼、拙僧の姿とは似ても似つかない拙僧の肖像。
理屈でも常識でもなく、魂と本能が告げる、もう一人の自分。
言い知れぬ焦燥に駆られ、振り返れば
・・・其処に、つい今し方くぐったはずの焼けた扉は無く
在るのは、唯・・・息を呑んで此方を見つめ返す
肖像画の中の、人物...
「「そう、か・・・」」
かたや暗黒を宿した、白い白い美貌
縦横に走る傷跡、繋ぎ止められた左眼、幾つも幾つも皮膚を貫く金属
白鬼夜光
武田の陰軍師
凄絶にして妖艶なる美貌が、無表情な感動に染まる
かたや呪怨を纏った、白い白い美貌
捻れる蛇に似た刺青の痣、色のない左眼、縦真一文字に残る刀傷
狂騒乱舞
武田の闇軍師
凄惨にして艶麗なる美貌が、無機質な驚愕に染まる
「其処にいるお前が、もう独りの己なのか。」
「其処にいる貴殿が、もう独りの拙僧なのか。」
紡ぐ言葉、伸ばす腕。
透き通った禁断の合わせ鏡に手を触れて。
刹那
思い知る・・・
(何処か遠い日に失くし、永劫欠落してしまった、欠片...)
今、目の前にある自分ではない自分
其れが、そうなのだと直感する
どう足掻いても手に入れられはしない
けれど同時に、其れも厭になる程身に染みて
惹かれ合ったところで
求め合ったところで
所詮は自分同士
交わることのない、永遠の平行する合わせ鏡・・・
<...其れは、真冬が見せる一睡の幻・・・舞い上がり舞い散る、幻想>
求め合い惹かれ合うことは、禁忌と知りながら
其れでも追わずには居られない、互いの面影を
山本勘助
同じ名を持ちながら、永久に隔てられた世界に生きる者
嗚呼、不毛の雪原の夢は、何故彼らを巡り合わせたのだろうか・・・・・
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タイトル「雪舞夢現」は、「雪の舞うは夢か現か」と読んで下さい(普通に無理)
気が付いたら3冊目の絵本ですよ、どうしたら(何3冊目)
各務様の勘助さんは、破滅型のようで常識人で、酷薄なようで慈悲深くて、
斜に構えているようで居て万物を真正面から受け止める凛とした人なのです、
素晴らしすぎる・・・よ・・・ああああああああ!!!!!(落ち着け)
何かが欠けているのはうちの勘助だけ疑惑というダーク・イリュージョンです(何を)
くおお・・・持てる全力です・・・よ・・・(燃え尽き)
しかも気が付いたら何だか『肖像』のイメージに振り回されていたという・・・
(元ネタが『絵本』ですらないダーク・イリュージョン)(2回目)
この絵本は各務晶良様に捧げます(拝)