其の左目に

唯、此の魂を奪われて




【 メビウス 】



青白い月光に、今宵も捻れる思いを攫われて


「・・・伊達、政宗・・・・」

名を呼べば、彼の不敵な笑みを刻んだ左目が、幻のように浮かんでは消える。
眼前に在った、雪国育ちを如何にも思わせる、色の白い、綺麗な、肌。
絡み合った視線同士を思えば、溜息が止まらなくなる。

しゃら、と。

首にかけられた小さな剣の飾りが、其の鎖を鳴らす。



『気に、入ったぜぇ・・・毛利元就。』


熱く甘く、掠れた其の、声。
三日月を描いた唇が、重なる感触に、身も心も焦がされて。


『手に入れてやる、お前を・・・必ず。』

国境も、数多の国も、何もかも無視して突然攻め入ってきた、独眼竜。
あれだけの兵を割きながら、呆気なく退いていった。
奪ったのは、此の唇と、心一つ。


しゃら、しゃら。

月下、傾げる首に合わせて鎖が鳴る。
まるで、彼の男の言葉を紡いでいるかのよう。


「莫迦な・・・」

否定しても、否定しても。
込み上げる此の気持ちは、何?

鎖を鳴らす剣の飾り。
独眼竜の剣を象った、彼の男が残した痕。


心が、震える。


焦がれる其の想いの名を、元就は未だ、知らない。










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首輪かけられて、独眼竜に片想いオクラ様。
けれど其れに気が付かない日輪の申し子です。愛。

このまま、前田夫婦も真っ青なラヴ全開ぶりで、天下統一してしまえば良いんだと思うです。