後悔なんてしていない

後悔、なんてしたら

・・・お前らの死が、無駄になる 







恋ヒつぼみ




「Got it!!!天下、取ったぜ!!!」

突き上げる拳が、夕陽に影となり映える。



奥州筆頭、独眼竜政宗。
彼の天下が、実現した瞬間であった。



けれど。


振り返る其の視線の先には
無数の・・・卒塔婆

戦で死んだ家臣たち

犠牲になった敵兵たち

巻き込まれて命を落とした、数多の民


“犠牲者を一人も出さず”なんて
そんな夢絵空事を追いかけて

天下を掴めるほど、乱世は甘くなどない。
そもそも、生きるか死ぬか、食うか食われるか、其れが乱世であるのだから。


分かっている。
けれど、それでも。

「・・・・・・・っっ」

見遣る政宗の、視界は歪むのだ。
もっと、減らせなかったのか。
もっと早く此処まで辿り着けなかったのか。

思い出して、悔やめばキリがない。


だから


「・・・後悔は、して、無え・・・・っっ!!」

言ノ葉に乗せるのは、唯其れだけ。


後悔なんてしていない。

分かっていて進んだ道だったのだから。

後悔なんて出来るはずがない。

したら、犠牲になった命の総てが報われない。


だから

だから、だから


「Yeah!!!!」


伊達政宗は止まらないのだ。

誰もが希った太平の天下を、二度と揺るがぬものにする為に。







†††††††††††††††
伊達エンディング文章化。
映像を文にするのは難しい・・・・・。
何処までも意地っ張りな伊達殿になっていれば幸い。
夕陽の彼方に走っていく背中に、昔の金曜ロードショーのトランペットソロを連想します。
とか言いつつ、遠来未来様の『戀蕾』を聴きながらポチポチ書きました。